企業の中にあるハードウェアやソフトウェアといったIT関連資産を管理することを「IT資産管理」といいます。PCやサーバー、USBメモリ、プリンターなどのハードウェアや周辺機器の利用者やネットワークへの接続状況、ソフトウェアのバージョンなどの情報を収集することによって、セキュリティ対策やコンプライアンス強化に繋げられます。
企業ではPCなどの資産について導入・廃棄を繰り返す中で、しっかりと管理を行っておかないと現在のIT資産にはどのようなものがあるのか、さらにリースやライセンス期限を把握できないといった状況にもなりかねません。このような情報は人の手で管理できるものの、担当者に負荷がかかったり抜けが生じたりする可能性もあります。そこで、IT資産管理ツールを使用することにより、効率的なIT資産管理が行えるようになります。
企業や組織にとってIT資産管理は重要な意味を持ちます。ここでは、IT資産管理をなぜ行うのかといった点について解説していきます。
IT資産管理を行うことは、セキュリティの維持にも繋がります。例えば、OSやソフトウェアをしっかりと管理しておらず、最新パッチの適用が行われていない場合には脆弱性を狙った攻撃を受けてしまう可能性が考えられます。
さらに、ポリシーを守らずにUSBメモリーなどを使用したりすると、そこから情報漏洩が発生する可能性もあります。以上から、資産の管理をしっかりと行っておくことで最新パッチの適用漏れを無くしたり、情報漏洩などのリスク回避に繋げられます。
IT資産管理をしっかりと行っておかないと、故意ではなくてもライセンスの使用許諾の範囲を超えた数のデバイスに対してインストールしてしまう、といった状況が発生する可能性も考えられます。ソフトウェアの利用状況の調査など、日頃からIT資産管理を行っていくことで、コンプライアンスの遵守につなげていけます。
ソフトウェアの利用状況を確認しておかないと、上記の例とは逆に、使用できるライセンスがまだ余っているにも関わらず追加でライセンスを購入してしまう可能性も否定できません。このようにライセンス数を把握して余分なコストをかけないようにするためにも、IT資産管理はしっかりと行っておく必要があるといえます。
IT資産管理の対象は「ハードウェア」「ソフトウェア」「ライセンス」の3種類が挙げられます。ここでは、どのような資産管理を行っていくのかといった点について解説していきます。
企業で使用しているハードウェアにはさまざまなものがあります。例えばPCやスマートフォン、タブレットの他にもプリンタやUSBメモリ、外付けHDD、デジタルカメラ、社内Wi-FiなどもIT資産管理の対象です。
これ以外にも企業で使用しているデバイスがあれば、全てIT資産管理の対象とするべきです。ただし、単体ではネットワークに繋がらないUSBメモリやデジタルカメラなどについては管理漏れが起こりやすいためしっかりと確認するようにしましょう。
パソコンのOSやパソコンで使用するソフトウェアなどもIT資産管理の対象となります。ここでは、端末にインストールしているソフトウェアはもちろん、未インストールのソフトウェアを管理していくことになります。
インストールしているソフトウェアの場合、インストール先・現在のバージョン、ライセンスの契約状況といった情報を管理していきます。また、未インストールのソフトウェアの場合は、保管場所(またはダウンロードなど取得方法)に関する情報もしっかりと把握しておいてください。
ライセンスもIT管理の対象となります。どのライセンスが何台にインストールできるのか、また現在は何台にインストールされているのかといった点も把握しておきます。この情報は、ライセンス違反が起こらないようにするためにも非常に大切です。また、ライセンスの管理にはサブスクリプションなども含まれます。
企業においてはIT資産を行うことは非常に重要です。そこでここでは、IT資産管理によってどのようなメリットが得られるのか、といった点についてまとめました。
ハードウェアについてそれぞれのデバイス管理をしっかりと行っていくことにより、固定資産の計上が早くなるというメリットがあります。また、定期的な買い替えを行う場合についてもどの機器の入れ替えが必要か、という点を把握しやすくなり、古い機器がずっと使用されているといった状況を防げます。
さらに、IT資産を購入する際にも必要なものを把握できるために必要最小限の購入に抑えられるといった面もあります。
IT管理でライセンスをしっかりと管理していくことにより、ライセンス違反の発生を防げます。もし、ライセンスが切れていたり海賊版のライセンスを使用している場合には、企業としての信頼が失われることにつながってしまいます。
さらに、有償ライセンスの管理や周知を徹底できるため、企業内でのソフトウェアやOSの統一につなげることも可能です。
社内にはさまざまなIT資産がありますが、IT資産管理をきっちりと行っておけば資産の盗難・不正利用を防げます。例えば勝手にデバイスを持ち出して使用した場合には、情報漏洩が発生するリスクも考えられます。このような面からも、社員や第三者による持ち出しや盗難、私的な利用を防ぐことは非常に大切といえます。
IT資産管理ツールを導入する際には、さまざまなポイントを押さえておく必要があります。ここでは、チェックしておきたいポイントについてまとめていますので、導入時の参考にしてみてください。
IT資産管理ツールにはオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。
オンプレミス型は自社でサーバーを用意して運用を行っていく方法、またクラウド型はサービス提供事業者のサーバに接続して利用する方式です。インターネット環境が必要となりますが、各地に拠点を持つ企業でも管理ができるといったメリットも得られます。以上から、自社にはどちらの提供形態が合っているのかを考えながら選ぶのがおすすめです。
IT資産ツールを導入する前には、まず自社が必要とする機能の洗い出しを行った上で、その機能に対応したツールを選択することがおすすめです。
IT資産管理ツールで用意されている機能としては、台帳管理機能やインベントリ収集機能、統合運用管理機能などが挙げられます。
導入しようとしているツールの対応OSや、自社で使用しているデバイスに対応が可能かといった点もあらかじめ確認してくべきポイントです。また、モバイルデバイスについてもツールを用いて管理したい場合には、自社で使用しているデバイスに対応しているIT資産管理ツールを選択しましょう。
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